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甘い営業トークにご用心!初心者が騙される「サブリース契約」の巧妙な罠
「30年間、空室が出ても家賃を保証します!」
「先生は、何もしなくて大丈夫です。面倒な管理は、すべて我々にお任せください!」
土地活用、特にアパート経営を検討し始めると、必ずと言っていいほど、建築会社の営業マンからこんな“魔法の言葉”をささやかれます。それが「サブリース契約(一括借り上げ・家賃保証)」という提案です。
空室の心配も、入居者トラブルの心配も、一切なし。ただ、毎月通帳に決まった額が振り込まれるのを待つだけ。まさに、夢の「不労所得」が実現するように聞こえますよね。
しかし、その甘い言葉を鵜呑みにし、安易に契約書にサインしてしまったが最後、あなたは出口のない、巧妙に仕組まれた「罠」にハマってしまうかもしれません。
この記事では、多くの初心者が騙されてしまうサブリース契約の**カラクリ**と、その裏に潜む**致命的なリスク**について、徹底的に解説します。あなたの資産を守るために、この知識は絶対に必要です。
そもそも「サブリース契約」とは?その仕組みを正しく理解する
まず、サブリース契約とは何か、その基本的な仕組みを図でイメージしましょう。
【通常の賃貸(一般管理)】
オーナー ⇔ 入居者
【サブリース契約】
オーナー ⇔ サブリース会社 ⇔ 入居者
通常の賃貸では、あなたは「入居者」に部屋を貸します。しかし、サブリース契約では、あなたは所有するアパート全室を、まず「サブリース会社」に一括で貸し出します(これをマスターリース契約と言います)。そして、そのサブリース会社が、又貸し(転貸)という形で、個別の「入居者」に部屋を貸し出すのです。
あなたにとってのお客さんは、入居者ではなく、あくまでサブリース会社。だから、たとえ入居者がいなくても(空室でも)、サブリース会社はあなたに「保証された家賃」を支払う義務がある。これが「家賃保証」の基本的な仕組みです。
初心者を惑わす「甘い営業トーク」の正体
この仕組みを武器に、営業マンはあなたにこう囁きます。
- 「空室リスクはゼロです!安定収入が一生続きます!」
- 「滞納やクレーム対応は、全て我々がやります!」
- 「確定申告も楽になりますし、相続税対策にも最適ですよ!」
これらの言葉は、土地活用初心者が抱える「空室」「管理の手間」「税金」という3大不安を、見事に解消してくれるように聞こえます。しかし、これらの甘い言葉の裏には、あなたにとって極めて不都合な「真実」が隠されているのです。
【ここからが本題】サブリース契約に潜む、4つの巧妙な罠
契約書をよく読まずにサインしてはいけません。その小さな文字の中に、あなたの未来を縛る、恐ろしい条項が紛れ込んでいます。
罠1:「家賃保証」なのに、家賃は保証されない
これが、最大の罠です。サブリース契約書には、必ずと言っていいほど、以下のような意味の条項が含まれています。
「経済情勢の変動、近隣相場の変動、その他やむを得ない事情がある場合、協議の上、賃料を改定することができる」
これは、一体どういう意味か。つまり、「保証するとは言ったけど、状況が変われば、家賃は下げさせてもらいますよ」ということです。新築当初は約束通りの家賃が支払われますが、2年後、5年後、10年後…。「周辺に競合物件が増えたので」「建物の価値が下がったので」といった理由で、サブリース会社から一方的な「家賃減額交渉」を迫られるのです。そして、この交渉を拒否すれば、契約を解除される可能性すらあります。「30年保証」という言葉は、決して「30年間、同じ金額を保証する」という意味ではないのです。
罠2:オーナーからの「解約」は、ほぼ不可能
では、家賃を下げられて赤字になったから、「もう、この契約はやめたい!」と、あなたから解約することはできるのでしょうか。答えは、極めて「No」です。
日本の借地借家法では、部屋を借りている人(この場合はサブリース会社)の権利が、非常に強く保護されています。そのため、貸している側(オーナーであるあなた)からの正当な理由なき解約は、原則として認められません。もし、どうしても解約したい場合は、数ヶ月分、場合によっては数年分の家賃に相当する、高額な違約金を請求されるケースがほとんどです。
罠3:高額な「修繕費用」を請求される
「管理はお任せ」という言葉にも、裏があります。日常的な小さな修繕はサブリース会社が負担してくれるかもしれませんが、10年〜15年に一度必ずやってくる、外壁塗装や屋上防水といった「大規模修繕」の費用は、当然ながらオーナーであるあなたの負担です。
その際、サブリース会社が指定する関連会社で工事を行うことを条件とされ、相場よりも割高な工事費用を請求されるケースが後を絶ちません。断れば、家賃の減額や契約解除をちらつかされる。まさに、断れない状況に追い込まれてしまうのです。
罠4:知らないうちに、物件が「スラム化」する
入居者の審査をし、誰を住まわせるかを決めるのは、サブリース会社です。彼らの最優先事項は「空室を埋めること」。そのため、オーナーであれば敬遠するような、素性の分からない入居者でも、審査を緩めて住まわせてしまう可能性があります。その結果、ゴミ出しのマナーが悪化したり、騒音トラブルが頻発したりして、物件全体の評判が下がり、優良な入居者が退去していく…という「スラム化」のリスクを孕んでいます。
まとめ:「思考停止」が、最大の敵。あなたの資産を守る唯一の方法とは
ここまで読んで、サブリース契約の恐ろしさを感じていただけたかと思います。もちろん、全てのサブリース契約が悪というわけではありません。多少収益が低くても、とにかく一切の手間をかけたくない、という方にとっては、一つの選択肢になり得ます。
しかし、最も危険なのは、「家賃保証」という甘い言葉を信じ、他の選択肢と比較検討することをやめてしまう「思考停止」の状態に陥ることです。
あなたの資産を守るための、唯一にして最強の方法。それは、
「サブリースで任せた場合の収支計画」と、「自分でリスクを取り、一般の管理会社に委託した場合の収支計画」を、必ず複数の会社から取り寄せ、その両方を自分の目で徹底的に比較検討することです。
その比較を通じて初めて、「保証料」として、あなたはどれだけの収益を諦めているのか、そして、その「保証」がいかに不確かなものであるか、という現実が見えてくるのです。
そのための第一歩として、まずは複数の優良企業から、様々な角度からの「土地活用プラン」を一括で資料請求し、あなたの知識という「武器」を増やすことから始めてみてはいかがでしょうか。